隠されてきた「毒物」の正体
福島第一原発事故で放出されたにもかかわらず、毒物テルルは隠されてきました。
◆テルルとは
テルルは金属の一種で、「濃縮の見られない金属」に分類されています。原子番号 52 の元素で、化学式は「Te」。気体のテルルは黄金色をしており、金属のテルルは銀灰色をしています。代表的なテルル化合物には、無色の結晶である二酸化テルル(TeO₂)や、これも無色の結晶であるテルル酸ナトリウム(Na₂O₄Te)などがあります
希少な元素(レアメタル)でもあるテルルの主な用途は、鉄鋼の切削性向上の ための特殊鋼用添加物、テルル化銅、触媒、合成ゴムの加硫促進剤、ガラスや陶 磁器用の接着剤、陶磁器やエナメルガラスへの赤色や黄色の色づけ材、感光体セ レン合金、太陽電池用のテルル化カドミウム、テルル化ビスマス、半導体用のテ ルル化鉛などです 。
◆テルルの分類
放射性テルル テルルは「安定テルル」と、放射性物質(放射性同位体)である「放射性テルル」 に分類されます。 テルルは最も毒性の高い元素のひとつであり、「安定テルル」とその放射性同位 体である「放射性テルル」の両方ともが、2011 年に発生した東京電力福島第一 原子力発電所(原発)事故の際、環境中に放出されました。
同原発事故の発生以降、「放射性テルル」による汚染は計測され、不完 全ではあるものの多少は把握されてきましたが、「安定テルル」による汚染の実態 は、きちんと把握されておりません。 「安定テルル」も「放射性テルル」も、自然環境中に放置しておいては危険極ま りない有毒物質であることに変わりはありません。 さらに「安定テルル」は、「放射性テルル」のように減衰しないので、有毒物質 としてその場に存在し続け、そこで暮らす人々の健康を脅かし続けます。 テルルの毒性 テルルは人体にとって、危険な有毒物質でもあります。0.25mg で中毒症状を 呈し、2g で致死量に達します。 テルルに曝されると、呼気や汗がニンニク臭に似た悪臭を帯びます。口が乾い たり、金属味を感じたりします。眠気や食欲不振、吐き気を感じることもあります。 発汗が止まったり、皮膚炎を起こしたりすることもあります。
◆テルルによる急性自覚症状
①味覚で感知する
テルルのエアロゾルを吸引したり、テルル汚染物を経口摂取したりすると「金 属をなめた時の味」がします。口の中が乾くこともあります。
②臭覚で感知する
テルルのエアロゾルを吸引したり、テルル汚染物を経口摂取したりすると、呼 気や汗がニンニク臭に似た悪臭を帯びます。これを「テルル呼気」と言います。 血の臭いを感じることもあります。
③視覚で感知する
テルル(Te)が酸化して二酸化テルル(TeO2)なる時、発熱して青い光を出 します。
④温覚で感知する
テルルが混じっているプルーム(汚染濃度が高い大気)に包まれると、生暖か さを感じます。
⑤触覚、痛覚で感知する
テルルのエアロゾル(空気中に漂う微細な粒子)に被毒すると、急激に日焼け 10 した時のような皮膚への刺激痛や、眼や鼻や喉に刺激を感じます。頭痛を覚えた り、発汗が止まったり、皮膚炎を起こしたりすることもあります。 また、摂取してから2週間ほど経った後に、脱毛が見られることもあります。
⑥「体調」で感知する
テルルのエアロゾルを吸引したり、テルル汚染物を経口摂取したりすると、気 分が悪くなり、吐き気をもよおしたり、嘔吐したりすることがあります。眠気を 感じたり、食欲がなくなったりすることもあります。
◆テルルによる慢性自覚症状
・消化器の症状――悪心、嘔吐、食欲喪失、下痢、便秘
・神経の症状―――頭重、頭痛、譫言(うわごと)、眩暈(めまい)
・精神の症状―――錯覚 ・疲れ等の症状――脱力感、倦怠感(けんたいかん)
・血液の症状―――血尿、鼻血、歯肉からの出血、下血、生殖器からの出血、
溢 血斑(いっけつはん、皮膚下の内出血)、白血球減少、貧血
・炎症等の症状――発熱、咽頭炎、口内炎 他には月経異常や脱毛
◆テルルについての事実
■パンフレット:『テルルの毒性』 英語版
福島第一原発事故で放出されたにもかかわらず、隠されてきた「毒物」の正体
■出版物:「核分裂毒物テルルの発見」
原爆/核実験/原発被害者たちの証言から
化学物質’’テルル’’と‘’内部被ばく’’で明かす原水爆・原発被害の真実!
■Kindle版 ガン/ テルル関係冊子
☛ 福島原発事故放射能汚染公害被害原因裁定を求める会の シンボルマーク

