福島原発事故放射能汚染公害被害原因裁定を求める会
京都精華大学名誉教授、山田國廣
◎公害調整委員会への申し立てにご支援を!!
1.クラウドファンディングへの支援をお願いします
広島原爆投下から今年8月で78年がたちました。核分裂毒物テルルの悲劇は①広島原爆投下からはじまり②長崎原爆投下③ビキニ核実験④セミパラチンスク核実験⑤スリーマイル島原発事故⑥チェルノブイリ原発事故⑦福島第一原発事故と悲劇は繰り返されてきました。
広島原爆事件以後の原爆・原発推進権威筋は「核分裂事件による健康被害原因はすべて放射能単独犯であり、健康被害は主要には外部被ばく指標のmSvにより評価できる」と説明してきました。
しかし、「核分裂事件による健康被害を起こした主要原因は、毒物テルルによる内部被ばくが主犯であり放射性物質との複合影響でした」。原爆・原発推進権威筋は意図的に、被害を起こした主犯物質がテルルであることを隠してきたのです。それこそが“核分裂悲劇が繰り返されてきた”根本原因でした。
原因裁定の目的は「福島第一原発事故後に多発した急性原爆症状、甲状腺がん(結節の増大を含む)や白血病などがん、新生児の先天異常など多くの疾病の主要原因物質が、核分裂により生成され事故により放出された毒物テルルである」ことを明らかにすることであり、重要な社会的意義を有しています。
原因裁定に関しては4年ほど前から準備を進めています。第一次申請人としては福島第一原発事故当時の居住地が福島県南相馬市小高区の渡辺瑞也さん、飯舘村小宮の安齋徹さん、福島市庄野の大越良二さん、郡山市菜根の松本徳子さんの4名が決まっています。弁護団も釜井英法さんを主任弁護士とする5名により編成され、原因裁定申請手続きに向けて何度も検討会議を重ねてきました。近々には公害調停制度に基づく原因裁定の申請がスタートします。
「福島第一原発事故後の健康被害多発原因物質の真相究明」について関心がある皆様に、お願いがあります。原因裁定申請に関して様々な経費が必要となります。この経費調達のためクラウドファンディングを行うことになりました。今回の原因裁定の社会的意義をご理解いただき、ぜひご協力(具体的方法について別掲欄1、2を御参照ください)をお願いします。
2.テルルの急性毒は5感(視覚、温覚、味覚、臭覚、痛覚)+心で感知できる特徴を有していた
核分裂により生成される毒物テルルの化学毒により、特に急性原爆症は「五感+心で感知する健康被害症状」を有していました。原爆・原発推進権威筋は「放射能は眼に見えないし、匂いも、味もないので、わかりにくい」と説明してきました。しかし、核分裂事件後の急性原爆症には、青い光、温かい空気、金属臭、ニンニク臭、皮膚刺激という五感に感じる自覚症状があり、放射能毒だけでは説明がつきませんでした。
「テルル(Te)は空気中で青緑色(視覚)の炎を上げて燃え(温覚)、二酸化テルル(TeO2)を生じる(日本第百科全書、“テルルの意味・解説より)」。
「テルルのエアロゾルは眼、気道を刺激(粘膜刺激)し、肝臓、中枢神経に影響を与えることがある。吸入すると嗜眠、口内乾燥(皮膚感覚)、金属味(味覚)、頭痛(痛覚)、ニンニク臭(臭覚、吐き気を生じる、目に入ると赤発、痛み(痛覚)を生じる。そして腹痛(痛覚)、便秘、嘔吐、悪心(心)、倦怠感(心)、チアノーゼ、口腔粘膜の異変、脱毛、鼻血などが起こります(国立環境研究所、テルル及びその化合物より)」
テルルには、神経毒性、免疫毒性、生殖毒性、遺伝毒性などもあります。詳しくはテルルとは、別資料1「山田國廣著:テルルの毒性―福島第一原発事故で放出されたにもかかわらず隠されてきた毒物の正体」を参照してください。
3.福島第一原発の1号機、2号機、3号機から放出された9本のプルームには、「テルル(Te)が燃えて二酸化テルル(TeO2)なり青緑色または藍色に発光する」映像で確認できます
2011年3月11日14時46分に東北太平洋地震(M9)が発生し、津波が起こり、核燃料冷却機能損傷が起こり、1号機、3号機、2号機の順番にメルトダウンが起こり、3月12日から21日までに9本のプルーム(別資料2参照)が放出されます。
福島第一原発において最初に核分裂物質大量放出事件を起こしたのは1号機でした。1号機は3月12日の早朝から冷却機能損傷し「ベント放出をしないと格納容器が爆発する恐れがある」という理由で、12日の14時ころにベントが実施されました。東京電力の事故報告書に12日15時の「1,2号機排気塔から山側に蒸気のようなものが見える」という写真映像(別資料3参照)が出てきます。このプルーム映像をよく見ると、プルーム出発点の排気口の出口周辺では白い蒸気が見えるのですが、少し離れ場所から藍色(二酸化テルルの化学発光色)が見えています。1号機ベントプルームはP1を形成し、北北東方向へ移流して浪江町、南相馬市を経由し海上へ出ていきます。
3月12日15時26分に1号機建屋水素爆発が起こります。鶴田俊著「福島第一原子力発電所原子炉建屋の爆発現象の画像解析による検討(日本燃焼学会誌54巻167号)」には、1号機建屋水素爆発時の炎とプルームの広がりの時間変化写真(別資料4参照)が出てきます。オレンジ色(CsO2の色)の炎が広がって行く様子と、水蒸気の白い部分と二酸化テルルの青い部分がまだら模様状になったプルームが150m/秒という高速で北北西方向に移流していく様子が確認できます。1号機ベント放出プルームと建屋水素爆発プルームは、P1を形成して北北西方向へ移流し、浪江町、南相馬市を経て13日昼過ぎには女川沖100㎞に到達していたトモダチ作戦活動中の空母ロナルド・レーガン乗組員を被ばくすることになります。
3月14日11時、3号機の建屋水素爆発が起こります。このときの爆発時炎とプルームが東方へ273m/秒という高速で海上方向へ移流していく超解像写真(別資料5参照)が前述の鶴田氏論文に出てきます。この超解像写真によると立てやすい爆発直後から炎が噴き出し大きくなっていく様子がよくわります。炎の中心部はオレンジ色(二酸化セシウムの化学発光色)が炎周辺部には藍色に近い発光色が見えます。鳥の羽形状をしたプルーム映像は白く見える水蒸気部分と青色の二酸化テルル部分が層状に混在していることが確認できます。 3号機の建屋水素爆発時の炎については、2021年1月27日に日本テレビがnews everyにおいて「福島第一原発の事故から10年。原子力規制委員会は日本テレビが最新の技術で解析した映像などをもとに新たな技術報告を行った」と解説しています(youtube)。
原子力規制員会が提出した事故分析報告書に超解像映像(別資料6参照)が出てきます。この映像では、炎中心部のオレンジ色部分と周辺部の藍色がよく確認できます。
3号機のプルームは海上方向へ移流していったので、陸域の被ばくはまぬがれたのですが、双葉町、浪江町、南相馬市の海岸部ではプルーム範囲が及んでいました。
2号機は3月14日から冷却水機能が損傷して燃料を冷やせなくなっていきます。14日の夜には、核燃料がメルトダウンを起こすのですが、1号機、3号機の場合と異なり、メルトした核燃料の大部分が圧力容器に中に残り、一部が圧力容器の底を破り抜けて格納容器に落下します。このため2号機でメルトした核燃料は圧力容器に中に宙吊り状態になり、冷却水で冠水させることができなくなりました。2号機の建屋南側にブローアウトパネルがありましたが、1号機建屋水素爆発時に脱落して大きな口を開けていました。このため、2号機のプルームは圧力容器から抜け出し建屋南側のブローアウトパネルから放出を続けることになりました。3月15日10時の2号機建屋放出映像(別資料7参照)は、ブローアウトパネルから大量に放出されているプルームの様子ですが、遠景写真であるために色の判明はできません。2号機は14日夜に、首都圏を含む関東一円を被ばくさせたプルーム(P2)を放出し、15日の午前中から浪江町、飯舘村、福島県中通りを経由して関東圏に達する福島原発事故最大のプルーム(P3)を出します。
3月16日時点では、2号機ブローアウトパネルからと3号機爆発建屋からのプルーム放出映像(別資料8参照)があります。2号機、3号機ともプルームには薄い藍色が混入していることが確認できます。この2号機、3号機プルームはプルーム(P4)を形成することになります。
3月20日9時30分時点、航空自衛隊撮影の2号機ブローアウト放出プルームと3号機爆発建屋放出プルームの映像(別資料9参照)が原子力規制委員会報告書に出てきます。この時の2号機、3号機のプルームは前述の16日時点のプルーム映像のプルーム継続放出版になっています。映像をよく見ると、2号機、3号機ともにプルーム先端部に薄い藍色が混入していることが微妙ですが確認できます。3月20日にはプルーム(P3)と同じ軌跡で福島中通りを被ばくさせたプルーム(P8)が放出され、そして21日には15日に関東一円を被ばくさせたP2と同じ軌跡をたどるプルーム(P9)が放出されました。これ以後も2号機からはプルームが出しつけられ建屋周辺に「怪しい霧(別資料10参照)」を出し続けました。
※別資料2~10織り込み本節:別資料参照に飛ばずにここまでの本節文が読めます。
「世界の核実験、原発事故現場のキノコ雲やプルームに青い光映像集(別資料11)」には、広島、長崎原爆においても確認できます。ビキニ核実験ではキノコ雲の上部が二酸化テルルの青い光、下部には二酸化セシムのオレンジの光が重なっているキノコ雲映像があります。チェルノブイリ原発事故では事故後の原発建屋から放出されている青い光が見えます。
4. 福島第一原発事故後にテルル毒影響と特徴である「五感で感知する健康被害症状」が起こっていた被ばく住民証言
「テルル毒による五感で感知できる健康被害症」がよくわかる3人の被ばく証言を紹介します。この3人と同様の健康被害症状が広島原爆、長崎原爆、ビキニ核実験、スリーマイル島原発事故、チェルノブイリ原発事故、そして福島第一原発事故後の東日本において起こっていました。その証言記録は「山田國廣著:核分裂・毒物テルルの発見―原爆/核実験/原発事故被害者たちの証言から(藤原書店)2023年2月発刊」において多数の証言録を掲載していますので、ぜひ熟読していただきたいのです。
私が「原発事故後の健康症状の主犯は毒物テルルではないのか」と発見したのは「トモダチ作戦に参加してきた空母ロナルド・レーガンおよび随行艦船の乗組員がアメリカで起こした健康被害賠償請求裁判原告団長リンゼイ・クーパーさん証言記録」でした。空母ロナルド・レーガンは3月13日の12時過ぎに女川沖100㎞の海域に到達していて1号機放出のプルーム1に被ばくします。
(1)2011年3月13日、トモダチ作成に参加した空母ロナルド・レーガンの甲板要員だったリンゼイ・クーパーさん(原告団長)は「雪が降り寒かった」と語っています。「私たち四名は、甲板に上がって30分から一時間ほどで、突然皮膚が焼けるように熱くなってヒリヒリし、続いて頭痛に襲われました。その時甲板上では航空機は一機も動いておらず、熱い突風が吹き抜けることはないはずでした。口の中に血のような味がしました。アルミホイルをなめたような感じと言っていいでしょう」。雪を降らせたのは、まぎれもなくフクシマから流れて来た放射能雲プルームです。ヒロシマ・ナガサキで原爆のススが入り「黒い雨」として降ってきた、あれと同じ現象です。雨が雪になる寒い日なのに熱い風を感じ、裸の腕が火傷のような症状を呈しました。舌は金属味を感じました。3月13日から19日の間にクーパーさんの毛髪は薄くなり、ポニーテールにしようと手を当てるとバラバラ抜けました。「腕まくりして外気にさらされていた両腕の、肘から下を触ると焼けるようで、まるで何かが皮膚の下で匍っている感じです。それがずっと続いています。腹痛、尿洩れ、肛門出血が起こりました。船から降りた後、体重が激増し、頭痛や記憶障害に見舞われ、歯は欠け、筋肉に問題を抱えるようになり、全身がゆっくりと悪くなって行くようです。(田井中雅人、エイ・ツジモト著、漂流するともだち アメリカ被ばく裁判:朝日新聞出版より)
(2)飯舘村小宮・安齋徹さん(公害調停申し立て人)の話は、2011年月15日朝の2号機から飯舘村にプルームが到達した時の証言です。「雨が雪になり、黒いものが混じって降ってきました。金属の焼けるような臭いがして、周りの空気が赤錆色に見え,肌がピリピリ痛みはじめたので、家に閉じこもっていました。スーパーにいき戻って風呂に入ると皮膚の表面にヒリヒリ感があり、風呂から出るとヒリヒリからビリビリになりました。その間も金属臭が続きました・・・(桐生広人著、福島第一原発事故・健康リスク:被ばく体験者に聞く、Amazon Kindle版)。後日に安齋さんは、脱毛が凝り、脳梗塞、心筋梗塞に見舞われました。
(3)ノーベル文学賞を受賞したスベトラーナ・アレクシェービッチさんの「チェルノブイリの祈り(岩波書店)」」にも、プリピャチ市(原発から3.5㎞はなれた都市)に住んでいた女性カーチャさんの避難するときの証言が出てきます「バスに乗っていくとき、空はまっ青でした。・・少しめまいがし、喉が伊賀らぽい感じでした。・・私が覚えているのは、町を離れるとき、空がまっ青だったこと」。チェルノブイリの祈りには、このような「青い光を見たという証言」が多く出てきます。
5.原爆・原発を推進してきた権威筋は「放射能単独犯説」と「健康被害は外部被ばく指標のmSvで評価できる」という被ばく住民を騙す言説をふりまいてきた
広島と長崎原爆投下後に、米軍主導の原爆障害委員会(ABCC)は、「外部被ばくのみが急性原爆症の原因である」「放射能は爆心地から3㎞以遠には降下しなかった」という,被ばく住民騙しの言説を振りまきました。ABCCを引きついだ放射能影響研究所は、重み付け結腸線量という外部被ばく線量評価指標で、長期寿命調査(LSS)を開始して、住民騙し手法をより巧妙にしました。福島第一原発津事故後、元長崎大学教授の山下俊一は100mSvまでは健康被害が起こらない」という、究極の騙し言説を各地で振りまきました。
「放射能単独犯説」は原爆・原発推進権威筋の疑似科学トリックなのですが、このトリックが権力とお金を駆使してばらまかれてきたため放射能専門家、科学者、マスコミ、そして被ばく住民の方々にも”すり込まれてしまった“のです。
広島原爆投下後78年が経過した現在においても、広島原爆では黒い雨訴訟が継続しています。ビキニ核実験でも被ばく漁民の訴訟が継続しています。そして、福島第一原発事故では多くの訴訟がありますが、放射能単独犯説では健康被害の因果関係が説明できないのです。それは「被ばく後の健康被害を越した主犯(主要原因物質)が毒物テルルの化学毒にあることが隠されてきた」からです。
公害調停・原因裁定の目的は、「この隠されてきた真実を明らかにする」ことにあります。そのためのクラウドファンディへのご協力を切にお願い致します。
2023年9月11日 京都市自宅書斎にて 山田國廣