松戸市民ネットワーク「松戸で生きたい私たち」発行の機関紙たんぽぽに投稿しました。
たんぽぽ投稿(2024.3.1)
投稿者: fujitoshi2023
12/27キックオフ集会
福島原発事故被害放射能毒・化学毒原因裁定を求める会のキックオフ集会が
2023.12.27(水)13:30~16:30 日比谷図書館地下大ホールで行われました。
◆集会録画 : https://youtube.com/live/61utjm8QN4s
◆式次第
13:30~13:38 開会あいさつ 共同代表 山田 真
13:38~13:53 基調報告 事務局長 藤原寿和
13:53~14:43 記念講演 山田 國廣

14:43~15:13 申立人からのアピール
安齋 徹
松本 徳子
大越 良二
渡辺 瑞也(Zoom)

小笠原 和彦 (代読)
15:13~15:43 弁護団から 釜井 英法
15:43~15:58 弁護団紹介 佐竹 俊之
〃 佐柄木 優
〃 横手 聡
15:58~16:18 会場からの質疑
16:18~16:23 集会宣言案採択
16:23~16:28 行動提案
16:28~16:30 閉会の辞
「福島原発事故原因裁定勉強会」式次第
開会:17:30~19:00
会場:衆議院第一議員会館 1F 多目的ホール
式次第:
17:30~18:00 福島原発事故健康被害の原因はテルルの放射能毒と
化学毒による複合影響
説明者:山田 國廣( 京都精華大学名誉教授)
18:00~18:20 公害等調整委員会への原因裁定の申立て申請について
説明者:釜井 英法弁護士
18:20~18:50 質疑応答
19:00 閉会・撤収
キックオフ集会(12/27)を目前に控えて
山田國廣(12/8)
”福島原発事故放射公害被害原因裁定を求める会”が12月27日に漸く”キックオフ集会”を催すことができることになりました。
私が、トモダチ作戦参加・空母ロナルドレーガン被ばく裁判原告団長のリンゼー・クーパーさんの証言から「健康被害を起こしている主犯・原因物質はテルルの化学毒なのだ」と発見してから4年が経過しました。

その間、名古屋高裁における避難裁判の判決は残念でした。その時の私の証言や証拠資料は、あまり役立たなかったと反省しています。
その反省をバネに調査研究を重ね、福島原発事故後の東日本広域における健康被害は、①テルル毒性論②テルル被ばくによる健康被害論③テルル汚染原因論という、3段階因果関係論を実証することが出来ました。その3段階因果関係論を冊子化したものが、キックオフ集会で配布する「テルル毒本No1~No6」です。この冊子化はさらにシリーズ化していく予定ですが、No7では「こどもがあぶない:東日本8か所のこども病院において小児急性白血病、手足先天奇形、低体重出生などが急増していた」ことを著す予定です。
私としては、今回の原発事故による健康被害の原因裁定の目的は以下の3点であると考えています。
(1)福島原発故後に東日本広域において発生した急性原爆症症候群(金属味、喉や皮膚への刺激、鼻血、頭痛、嘔吐、歯茎出血、チアノーゼ、脱毛・・・)と慢性原爆症候群(甲状腺がん・白血病・結腸がんなどの多様な部位のガン、甲状腺機能低下症、心筋梗塞、小児の先天異常、妊産婦の産褥期障害、神経障害、免疫系障害・・・)は、「テルル化学毒を主犯として放射性ヨウ素、放射性セシウムの複合影響により起こった」ことを3段階因果関係論により証明し、国や東京電力そして社会的にも認識させていくこと。
(2)東京電力や国の健康被害責任を明確にし、健康被害で苦しむ方々の回復のための生涯補償を賠償させること。
(3)テルル毒被ばくによる隠されてきた健康被害原因を明らかにして病気からの快復策を見出し、健康ケアに役立てること。
私は今年の8月で80歳になり、いつ倒れてもおかしくない年齢に到達しました。環境学研究者としてテルル毒を発見してしまった性と運命に従い「残された時間を原爆、核実験、原発を推進する権威筋と戦うしかない」と覚悟を決めました。闘いは、始まったばかりです。皆さまとともに、闘っていきたいと願っています。
【関連投稿】
テルル化学毒と放射能毒の複合汚染による被曝汚染(2023年9月11日)
福島第一原子力発電所から拡散したホットパーティクルとその毒性
参考文献ページにアップしていますが、目立たず見ていない方も多いと思い投稿にもアップ致しました。アマゾンkindle版ですが会員の方は無料で読むことができます。大変わかりやすい衝撃の解説動画はyoutube検索で見ることができますので是非クリックを。
・福島第一原子力発電所から拡散したホットパーティクルとその毒性(中村・山田・藤原)
・youtube版(中村)
キックオフ集会
12.27(水)13:30~16:30 日比谷図書館地下大ホールで福島原発事故放射能汚染公害被害原因裁定を求める会のキックオフ集会を開催いたします。 (⇒チラシ)
【プログラム】
(1)開会挨拶:山田真(原因裁定を求める会共同代表、小児科医・八王子診療所理事長)
(2)基調報告:藤原寿和(原因裁定を求める会・事務局長)
(3)記念講演:山田國廣(京都精華大学名誉教授)
講演題名:福島原発事故後に東日本広域の被ばく者に急性原爆症その後に がんなど慢性原爆症を起こした主犯は毒物テルルであった⇒テルル毒本 No1~No6 の概要説明)
(4)申立人4人の決意表明:
①飯舘村の安齋徹 ②郡山市の松本徳子 ③福島市の大越良二 ④南相馬市の渡辺瑞也
(5)弁護団からの提起:釜井英法
(原因裁定を求める会の弁護団長:元日本弁護士会消費問題対策委員長)
(6)会場からの質疑応答
(7)集会宣言案の採択
(8)閉会の辞
原自連での報告
11月23日、原自連の幹事会で当会の活動について報告をいたしました。説明20分、質疑10分という限られた時間でしたが、幹事の方々には熱心に聞いて頂きました。
主に当会のHPを見ていただきながら説明を行い、最後の10分、質疑に応答致しました。河合弁護士からは公害等調整委員会への申立が受理される可能性はあるのですかと聞かれましたので、過去の実例をもとに説明しました。また、原発訴訟の経験のある弁護士はいますかと聞かれましたので、公害訴訟を担当してこられた方々ですと、HPにアップされている四人の弁護士を紹介しておきました。
元自民党幹事長の中川秀直さんからは勝算はありますかとの質問でしたので、ありますとお答えしました。元首相の小泉純一郎さんからは特に質問は出ませんでしたが、テルル毒本のNo.2を丁寧に見ておられましたので、中身を紹介いたしました。幹事会には、ジャーナリストの下村満子さん、音楽評論家の湯川れい子さん等も出席されておられました。最後に河合弁護士から激励の言葉をいただきました。
当日配布した資料はNo.1とNo.2ですが次の幹事会が12月25日に予定されていますので、No.3が刷り上がりましたらそれまでに25部をお送りする予定です。(藤原寿和)
(当日配布資料)
・NO1:『テルル化合物の恐るべき 10 大毒性』
・NO2:『トモダチ作戦におけるテルル毒の悲劇』
座禅洞だより
松井英介さん(故人)が執筆された『座禅洞だより』のバックナンバーのうち、内部被曝関連のたよりを松井和子さんからいただきました。低線量内部被ばく資料集ページにアップしましたので一読お願いします。
松井和子さん宅を訪問
申立人からの訴え4
公害調停申立て人の訴え
大越良二 (福島市NPOフアーム庄野)
もう12年になりました。
NPO障がい者就労支援事業を1年余の手続き等自前で立ち上げ、ようやく発足と言う段階の大震災。やがて、ほゞ精神障がい者へ汚染農地での事業困難に至り、原発事故を機に支援事業から被曝影響へ農業と健康を守る活動へとNPO活動自体変化せざるを得ず、今日に至っています。
私自身、まさか、甲状腺がんはじめ、3つのがん当事者になるとは考えてもいませんでした。
2016年12月、甲状腺がん全摘左葉リンパ節郭清手術
2019年 4月 前立腺がん手術
2022年11月 大腸がん疑い内視鏡摘出手術
3つのがんとすい臓は経過観察、2012年12月20分に及ぶ心筋梗塞、2020年4月右耳突然難聴入院。2021年11月には軽い肺炎。
「もう、これで後はないだろう」と思いたくなるような健康障害の連続でした。NPOの機関紙として8頁毎月発行してきた『ふあーむ庄野』(151号に)は、自分の健康障害との闘いそのものでした。勿論、子ども甲状腺がんを軸に、二度の朗読劇の開催など必死で12年間、読者の皆さんの支援と共に駆け抜けてきました。 それでも、山田先生の『毒物テルルの発見』を読んで、被曝者の中に8度のがんと闘い続けた報告を読み、いや、まだまだなのだ、と思い知らされました。そして、その日は間もなくやってきました。
今年、4月18日、医大で、甲状腺科と消化器内科の2つの血液検査があり、甲状腺科でサイログロブリン等の数値が2.79→5.74(通常0~1、担当医はPET検査相当)に、また、消化器内科の血液検査でもAC19-9が48.2(正常0~37.0)と高く、二つ一度に高いのはすい臓か、肺へのがんに違いない、90%以上確実と思い込む他ありませんでした。即、翌月最も早い5月31日にCTを予約しました。
その夜は寝つかれず、もう、長くても5年生きれるかな、と。ほとんど思い込んでいました。夜中にモーツアルトのレクイエム全曲聞いても目が冴えて・・・。翌朝はやく、宇都宮から妹の死の知らせに愕然としました。
71歳の妹は昨年、すい臓がんが手遅れ発見。肝臓に転移。家庭菜園で学校教職を退職した夫と老後の楽しみにと。妹からじゃが芋や果物等頂いたものも測定したら25㏃と高い。それで、調べました。
①畑と自宅庭の土壌調査いずれも100㏃/㎏
➁米軍の土壌調査では10の各種ストロンチウム含む。
③栃木県の子ども甲状腺がん検査の経緯や1昨年給食への500㏃/㎏タケノコ問題等
④アーネスト・スターングラス博士のすい臓がんとストロンチウム→イットリウム膵臓に集中(1959年ドイツ・スポーディ博士グループ発見、米国核施設・原発施設周辺のすい臓がん増加等)。
これらの経緯を妹と妹の夫(私と同時期に前立腺がん手術)に話しました。夫は可能性を認めていました。レクイエムは妹への葬送曲になってしまったのです。
妹の死の1カ月まえ3月、家族と妹の娘たちと最後の食事会。楽しく、笑顔で、お酒も口にした妹の早すぎる死に、改めて原発への怒りを胸に刻み、この度の申立て人として新たに一歩踏み出す決意です
【311子ども甲状腺がん裁判】
①7人の仲間が立ち上げた意義を大きいと思います。
あじさいの会のみなさんの10年に及ぶつみあげてきた組織が力になりました。記者会見で、記者から「なぜ10年も沈黙し、今、立ち上がったのか?」の質問がありましたが、彼女たちは「バッシングが怖かった」と述べました。
しかし、実際にバッシングはなかったと思います。バッシング・いじめがあったのは一部の避難者の子ども達等、いわゆる、ためにする行為、つまり車へのいたずらやデマ宣伝(裏話等)を過剰にメディアなどが扇動し作られたバッシングではなかったかと思います。私の体験からも全くなかったし、むしろ、「体はどうだ」とか気遣ってくれた人が多かったです。
一般に避難者へのバッシングも、
a.市民の放射能への不安から。うつるから近寄らない等単純なことが差別、いじめ、迫 害になるのではないか。大人たちの会話が子どもたちに反映し、子ども達、あるいは社会全体の差別もいじめも文科省等放射能への説明より「差別、いじめは良くない」と言う道徳的なものではなかったか。
b.放射能への「正しい知識?大丈夫だ」と安心させるに一苦労。しかし、現実には安心できない。国が甲状腺がんについて正しく原因を見るのではなく、いかに誤魔化して被害を軽く見せるか。「健康被害は一つもなかった」と。これがいじめ、バッシングの原因であり、国が率先して作り上げたものとも言えます。紅葉山モニタリングの当初の最も大きいプルーンを捉えないUNSCEAR報告書は、線量が低いというベースに故意に仕組まれ1/100までになった線量率をベースにしたシュミレーションによる評価の結果にほかなりません。
➁ 甲状腺がん仲間の実態は大変だ
軽い人も確かにいると思いますが、しかし、7人の仲間には大変な方が多い。また、358人、そして「サポート事業ひも付き」の200人の経過観察者等今後もまだまだ続きます。一日も早い認定と対策を速やかに実施されることを願わずにはおれません。
【紅葉山モニタリングポストの問題】
「 UNSCEARが小児甲状腺がん多発を過少評価するために依拠した寺田論文のATDM(大気拡散シミュレーション)では、3月15日に福島市に到着した最大プルームの大気中のI-131濃度は110Bq/m3と算定でされています。実際には、3月15日16時に紅葉山モニタリングポストで観測されたI-131濃度=11951Bq/m3でした。その時刻ではTe-132=8090Bq/m3, I-132=8417m3,I-133=1699m3も同時に検出されていました。
寺田ATCMのI-131濃度と紅葉山モニタリングポストのI-131濃度実測値を比較すると11951(Bq/m3)/110(Bq/m3)≒109と、100倍以上の過小評価になっていることがわかります。3月15日の16時に紅葉山には最大プルームが到達したのであるが、寺田ATDMでは紅葉山到達の7時間後の濃度を算定しており、これが100倍以上の過小評価の原因である。
小児甲状腺がん多発については、なによりも岡山大学津田教授による疫学的証明によっても事故前の60倍の多発発症が明確にされています。」
【今、福島で起きている健康破壊と漁業問題】
①放射能晩発性障害が今、12年目で周囲に発症し始まっています。
a.果樹農家のAさん60歳台
土壌調査2012年、「土壌調査したら反対に風評被害たつのではないか」と当時は非協力でした。また、娘さん(当時高校生)とも甲状腺がん検査中止反対署名で「検査するしないは自由でしょ」と、考え方は違っていました。しかし、昨年から、Aさん自身にすい臓がんがみつかり、農業もできない状態になっています。結局、風評でなく農民自身が被害者になっているのが真実です。
b.昨年、資源保全地域の会長さん(当時75歳)も大腸がんで手術。が、半年も経たず肺に転移し、治療中に急死しました。私も田んぼで1週間前に立ち話したことから、急死に驚きました。
c.私の義理叔父(郵便局配達、元大工)もすい臓がん。13年に発覚、14年に再発。今、ほゞ寝たきりになっています。
d.先ごろの地域署名中7人の甲状腺疾患の方と話すこともできました。一昨年、子ども甲状腺検査への抑圧に反対署名をしたところ、75%の庄野等みずほ地域の人々が署名頂き、お母さんはじめ、家族の方々が真剣に心配され、検査の重要性を話していました。
e.次々と早すぎるがん等の死亡から、がん検査はじめ、糖尿病(ストロンチウム電離崩壊で生まれるイットリウムは膵臓に集中する)等早期発見が何よりも求められています。県検討委員会は、糖尿病の増加に的を絞って「成人病」「肥満」などを原因に、お茶を濁すような話にすり替えようとしています。
f.子ども甲状腺がんと共に家計の大黒柱であった成人者の早すぎる死は、残された家族にとっても農業を完全に辞めるかどうかの瀬戸際問題です。
働き手の亡くなった田畑はすぐにも荒れ地と化します。きわめて差し迫る農業危機なのです。ウクライナ戦争の食糧安保など呑気な政治家の話ではなく、農民自身の命・生存の危機に直面しているのが真実です。食糧安保の前に農民自身を守れなくて何の安全を守ろうとしているのでしょうか。農民は農業労働がイヤで止めていくのではないのです。農産物価格が全く投下した資本(機械・肥料・種等)、労働に見合うものになっていないからです。
②汚染水海洋投棄へ漁民の怒り
「海はわれわれに恵みを与えてくれる生命の源。浜では海の神様に清水を捧げる。毒は毒。なんでトリチウムを認められるか。何のメリットもない。我らの仕事場の海に汚染水を流すとは理解できない。海には小さなプランクトンから大きな魚までいる。食物連鎖は必ず起き蓄積する。12年前なんで汚染水流さなかったか。食物連鎖(=生体濃縮)起きるからだ。将来の子どもたちにきれいな海を残さないといけない。」
原水禁福島大会(7/30)全体集会の中で新地町の5年間漁業を営む山野さんは、「科学的根拠」「40分の1に薄めれば安全」「トリチウムは年22兆㏃に制約」と言う国、IAEAの嘘(自然は放射性 物質を生体濃縮する)を生活から暴露した。
漁業組合との合意を破ってまで強行した岸田政権の本意はどこにあるのか。誰が見ても前のめりのGX政策は、脱炭素社会への世界の流れに乗って多数派形成の絶好のチャンスとばかりに、まだまだ、福島原発の真の原因もハッキリさせず、補償問題も不満を買っている最高裁判決、子ども甲状腺がん裁判も、被告(国・東電)は明らかに苦境に立たされ、358名にもなった多発の原因をスクリーニング効果だ、と反論する有様。100倍も低い紅葉山モニタリングのデータの故意に隠蔽した小寺論文等弁解の余地もない。あらゆる電源のなかで原子力発電はコストが高く、それでも60年越えまで稼働させる意図はどこにあるのか。明らかに、東芝の崩壊まで及んだ独占資本自体が進めてきた日本経済の危機に、古物原発にも稼がせ(年に1基500億円利益)ざるを得ない余裕のなさではないか。
バイデン政権にしてもしかり、新しく台頭した中国をやり玉に中国規制のブロック化経済と共に軍事増強を世界的に推し進め、その尻馬に乗って岸田政権もまた、途方もない中国規制にバイデンのまま、推し進めようとしている。
汚染水海洋投棄も誰が見ても、非は日本にあり、UNSCEARや薄めれば大丈夫式の安全論や科学では済まないはず。隣国である限り、この強行は常識では考えられない。これもまた、反中国の絶好の材料とばかり、メディアこぞって「福島の漁業を守れ」とすり替えてしまう。漁業組合の約束反古問題もかき消されている。あたかも中国の輸入規制が福島の漁業を、日本の漁業を潰そうとしているかのようにすり替えに「成功」した?
私たちの運動は韓国はじめ、中国、太平洋島しょ諸国の人々と共に連帯し、友好関係を強めていかねばらないと思います。
甲状腺がん潜伏期間はテルルの影響で異なる?
甲状腺がん潜伏期間はテルルの影響で異なる?
桐生 広人(フォトジャーナリスト)
1970年代半ばから原水爆(核)実験などで生じた放射線に被ばくし健康被害を被ったと主張する内外の被ばく者にその体験をインタビューしてきた。当然、福島原発事故により多くの人々が放射線被ばくから健康被害を被ったに違いないと考えその体験を聞いて2020年に出版した(注1)。
インタビューを始めたのは2019年からだが、原発事故からすでに9年が経過していた。奇しくも、アメリカのビキニ水爆実験で被ばくしたロンゲラップ島の子供たちに甲状腺腫瘍の多発が診断されたのが被ばくから9年後のことだったが、福島では小児甲状腺がんがすでに多発していた。福島での多発は県民健康調査1巡目の事故から2年以内に明らかになっていた。ロンゲラップの子供の甲状腺がん多発は放射性降下物のヨウ素131が甲状腺に蓄積されて被ばくしたことが原因、とするアメリカ当局の報告はすでにある。アメリカ保健福祉省のがん研究所は調査の結果、小児甲状腺がんの95%は放射線被ばくが原因と断定した。エネルギー省は不十分ながらも患者らに賠償を行なった。一方福島では県民健康調査の甲状腺がん調査は現在も続けられ、すでに300人近くの子供たちが癌の疑いを診断され手術を受けている。が、放射線被曝の影響は否定されている。
ロンゲラップの子供たちは高濃度の放射性降下物にさらされたが全員が58時間以内に避難し除染を受けた。その後汚染の残る島に戻ったという経緯はあるが甲状腺の異常が出現した潜伏期間は8から9年である。それに比べると福島での小児甲状腺がんの出現はあまりにも早い。報告されている甲状腺への被ばく線量は福島よりもロンゲラップ島の方が圧倒的に大きいとされるが、福島での調査数は少なく確かなことは不明だ。放射性ヨウ素131が被ばくの主な原因とされるがこの潜伏期間の差異はなんであろうか。
このたびの公害等調整委員会への申し立てでは、福島原発事故後の健康被害は「テルル化学毒と放射能毒の複合汚染による被ばく汚染」によるものだと呼びかけ人である山田國廣さんが指摘している。放射性降下物に含まれたテルルの同位体は発がん性と様々な強い毒性を持ち甲状腺に蓄積してがんを引き起こすことを解明した。放射線の影響だけでなくこれまで不明だった毒性物質の影響が明かされることで潜伏期間の差異などの原因がわかるかもしれない。そして健康被害の原因と責任を明らかにし被害を受けた方々の救済につながることを期待したい。
(注1) 「被ばく体験者に聞く」kindle版・ペーパーバック